大分合同新聞 法律あれこれ「家賃滞納、立ち退き求めるには」 清源万里子弁護士/記事PDF

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家賃滞納、立ち退き求めるには

Q私は家を貸しています。数カ月家賃の滞納があり、立ち退きを求めたいのですが、どうしたらよいでしょうか。


A 家賃滞納に基づく家屋の明け渡し請求について説明します。

【【債務不履行による契約解除の原因】 賃借人には、家屋を傷つけてはならない義務(民法第616条、594条1項)や、賃貸人に無断で第三者に転貸ししてはならない義務(同612条)などがあります。賃借人の重要な義務の一つに賃料支払いがあります(同601条)。賃借人が賃料の支払いを怠ると家賃滞納を招き、民法第541条の債務不履行解除(賃借人の意思に反して契約を解除できるもの)の原因となります。

【契約解除の方法】 賃貸人と賃借人の双方が借家契約を解除させることに合意すれば問題はありませんが、賃借人が同意しなければ借家契約を一方的に解除して、立ち退かせるほかありません。
 本件では、家賃の滞納を理由に借家契約を一方的に解除して、家屋の明け渡しを請求できますが、解除の手続きは慎重に行ってください。民法第541条では、賃借人に対して「相当期間を定めて履行の催告」をするよう定めています。例えば、1カ月以内に滞納した家賃全額の支払いを求める内容証明を賃借人に郵送し、その上で、滞納した家賃全額を支払わなければ、契約を一方的に解除して、立ち退きを請求できます。口頭で何度も家賃の請求をしても、証拠がなければ裁判で履行催告が認められない可能性もあります。

【強制執行】 賃借人が立ち退きに応じなければ、「家屋明け渡し請求」の裁判を起こし、勝訴の判決を得た後、強制的に立ち退かせることができます。

契約解除、手続きは慎重に