Q 先月、前夫が亡くなりました。相続人は前夫との間に生まれた私の子と後妻の2人です。後妻には数千万円の生命保険金が支払われています。遺産分割で生命保険金は考慮してもらえるのですか。
A 民法903条は、被相続人から特別に遺贈や贈与を受けた人が共同相続人の中にいる場合は、平等に相続手続きができるよう特別受益規定を定めています。
生命保険金は、生命保険契約に基づき保険金受取人に発生する権利で、前夫の遺産ではなく、遺贈や贈与でもないので原則として特別受益にはなりません。
しかし、最高裁判決で「保険金受取人である相続人と、その他の共同相続人の間に生ずる不公平が、到底是認することができないほど、著しいものであるという特段の事情がある場合は、死亡保険金請求権は特別受益の対象となる」とあります。
その特段の事情については「保険金額やその遺産総額に対する比率、同居の有無、被相続人の介護などに対する貢献の度合い、被相続人と保険金受取人である相続人、共同相続人との関係、各相続人の生活実態など、さまざまな事情を総合考慮して判断すべきである」としています。
この場合も、生命保険金が特別受益の対象となる可能性は十分にあります。一度専門家に相談してみてください。
(弁護士 清源万里子)