大分合同新聞 法律あれこれ「社員の懲戒処分」 清源万里子弁護士/記事PDF

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社員の懲戒処分

Q 私は会社の社長です。先日、社員が傷害事件を起こしました。社員を懲戒処分にすることができますか。


A 会社の就業規則に懲戒処分の定めがある場合、過去の同じような事例と比較して同じ程度の懲戒処分にすることができます。

 懲戒処分とは、労働者が会社の秩序を乱したり、法律に違反して会社の信用を傷つけたような場合などに課せられる制裁のことです。一般的には、戒告、けん責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇の7種類があります。
 懲戒処分をするためには、どのような行為が懲戒処分に当たるのかを、あらかじめ就業規則に定めておく必要があります。例えば、経歴詐称や職務怠慢(無断欠勤、出勤不良など)、業務命令違反、業務妨害、職場規律違反などです。
 同じ規定に同じ程度の違反をした時、懲戒処分をする場合は、懲戒の内容は同一種類、同じ程度の平等な取り扱いをしなければなりません。このため、同様の事例について先例を十分に検討する必要があります。また、規律違反の種類や程度、その他の事情に照らして相当性がなければなりません。
 懲戒処分を行う場合は、事実の確認と本人の弁明を必ず聞く必要があります。事実の確認をしなかったり、本人に弁明の機会を与えなかった場合には無効になります。処分が重過ぎるなど、懲戒権の乱用と評価される場合には、処分の無効、使用者や責任者の不法行為が成立することがありますので、懲戒処分をする際は、注意が必要です。
 懲戒処分の問題は複雑なので、一度専門家に相談してみてください。

過去の事例から検討を