大分合同新聞 法律あれこれ「 親権者の変更は可能か?」清源万里子弁護士/記事PDF

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親権者の変更は可能か?

Q. 私は、半年前に夫と離婚しました。元夫との間には、3歳の娘がいます。離婚する時、よく考えずに娘の親権者を元夫にしてしまいました。しかし、元夫はこの半年間、一度も娘に会わせてくれず、親権者を元夫にしたことを後悔しています。元夫から私に親権者を変更することはできますか?


A. 家庭裁判所に親権者変更の申し立てをする方法がありますが、必ずしも変更が認められるとは限りません。

 【親権者の変更】
 親権者の変更とは、離婚の際に決めた親権者指定を子どもの利益のために、父母の一方から他方へ変更することをいいます。


 【親権者の変更手続き】
 当事者間の協議だけで親権者を変更することはできません。必ず、家庭裁判所の手続きを経る必要があります。具体的には、家庭裁判所に、親権者変更の審判か調停を申し立てる必要があります。
 

  【親権者変更の判断基準】
 親権者の変更は(1)養育環境(2)子への愛情・現親権者の監護態度(3)現親権者の心身の健全性(4)子の年齢・心身の状況(5)子の精神状態の保護(6)子の意思―などを総合考慮して、親権者の変更を 必要とする特別の事情があると裁判所が判断した場合に認められます。特に、(6)の子どもの希望は重要な判断材料とされています。

 【面接交渉の申し立て】
 仮に裁判所から親権者の変更を認めてもらえなかった場合でも、あなたが娘に会う方法として、面接交渉の申し立てがあります。面接交渉権とは、離婚後親権者や監護権者とならず、子どもを養育監護していない親が子どもと面接したり文通したりする権利です。元夫が任意に娘と会わせてくれないのであれば、家庭裁判所に面接交渉を求める審判か調停を申し立ててみてはいかがでしょうか。

家裁が総合考慮し判断