大分合同新聞 法律あれこれ「犬の飼い主が治療費払わず」 清源万里子弁護士/記事PDF

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犬の飼い主が治療費払わず

 Q. 買い物からの帰り道、犬にかまれて右足に大けがをしました。飼い主に治療費を何回も請求しましたが全く払ってくれません。どうしたらよいですか。


  A. 調停を申し立てるか、本裁判を提起して飼い主から治療費などをもらってください。

犬などのペットを飼育している人は、ペットが他人に与えた損害について原則として賠償する責任があります。損害としては、治療費のほかストッキングが破れた場合にはストッキング代、買い物をした品物が壊れた場合にはその品物代なども含まれます。また、入院・通院期間に応じて慰謝料も請求できますし、仕事を休んだ場合の休業損害も請求できます。損害については、交通事故に遭遇した場合と同様に考えてください。
 次に、民事責任があるにもかかわらずお金を支払わない人に対する責任追及の方法を考えてみましょう。相手から弁償してもらう方法は幾つかあります。(1)執拗(しつよう)に請求を繰り返す方法(2)内容証明郵便を出す方法。しかし、飼い主には(1)や(2)では効き目がないでしょう。そこで、(3)調停か裁判をお勧めします。
 その場合、費用対効果の観点から、損害金総額が何百万円と高額な場合には弁護士に依頼して本裁判を提起してもよいと思いますが、損害金総額が数万円と低額な場合には弁護士に依頼せず、自身で調停の申し立てや少額訴訟の提起をする方がよいでしょう。
 簡易裁判所に行き、所定の用紙を受け取り、裁判所職員に書き方を教えてもらい、必要な切手と印紙を納めてください。誰でも1人でできます。
 放置しておくと、治療費などの請求権は時効(3年)によって消滅してしまいますので注意してください。

調停、訴訟提起して